cozy-nest 小さく整う暮らし

男子3人を持つワーママ、尾崎友吏子がつづる、暮らしをダウンサイジングして、すっきり簡単に片付く、自然に優しいシンプルな生活。

親世代は、なぜトイレットペーパーを買いだめするのか?


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1年ほど前、夫の母が引っ越しをしました。

一人暮らしなので、比較的荷物は少ない。
住まいも、小さな部屋。2DKから3DKの引っ越しなので、それほど広くない。

とはいえ、我が家5人分の荷物よりもおおきいトラックを使っての引っ越しでした。
遠方から近所に越してきたので、荷ほどきを手伝いました。

と、出てくる出てくる。梱包したダンボールの中から、トイレットペーパーや、使っていないラップ、ティッシュなどの消耗品が山ほど。
トイレットペーパーは、未開封の12ロールはいっているものが5つもありました。

(これらがなかったら、もっと小さいトラックを使って、引っ越しも安くできたでしょうに)と思いました。

消耗品だから、もっと計画的に買い物できなかったのかな?とは思います。
引っ越しは、数ヶ月前にはわかっていました。
でも、それまでに買いためていたものを、使い切れなかったそうなのです。一人暮らしだし、日中はフルタイムで働いていて留守。仕事のある平日は、デパ地下でお惣菜を一人分買うことも多いらしい。ラップもトイレットペーパーも、それほど使いません。

安いと買ってしまうのは家計のため?

母曰く、安いときに在庫を気にせず、つい買ってしまうのだそう。
確かに、家計のためには、なくなったときに高い値段で買うよりも、安いときに買っておくほうが良いに決まっています。
そして、母の前の家も、今の家も、使っていない消耗品の在庫を入れる収納もたくさん余っている。
だから、在庫は気にせず、安いときに買う、というのが習慣になってしまっているんですね。

もちろん、ラップやトイレットペーパーなら、まだいいんです。

それが、食品だったら?
賞味期限があります。
食品なら、ワインでもない限りは、新しいもののほうがいいに決まっています。
そもそも、そんなに賞味期限が長すぎる食品っていうのも、別の意味で怪しいかもしれない。
母は、引っ越しのときには、食品のストックはそれほど持っていませんでしたから、まだよかったです。
でも、私が、ボランティアで片付けに行った家には、未開封のお醤油のペットボトルが10本以上あるとか、カレーの箱が10個も出てくるとか、よくあります。

もちろん、置く場所があるから買ってしまう、そのときお金があるから買ってしまうのでしょうけど、あまり多くのストックを持ちすぎると、その管理が難しくなってしまいます。

たとえば、お醤油を開封するときに、賞味期限の一番短いものから探して開ける、なんて面倒なことをしなければならないですね。その、ストックをたくさん持っている人が、果たして醤油を古い順に使えているのかどうかはわかりませんが、私ならそんな面倒な手間は増やしたくないな、と思ってしまいます。



消耗品を溜め込んでしまう悪癖の理由。


私の周りでも、そろそろ高齢になった親の家の片付けなどが、時折話題に上ることがあります。
そうした会話の中では、たいていが、実家がものだらけ、ストックもたくさんありすぎる、というのを耳にします。

まあ、もし、ご両親がシンプルな暮らしをされていたら、子どもが両親のもちものに対して心配したりすることもないので、話題にもならない、ということもあるでしょうけど。

ふと、あるとき、次男と社会の勉強の話をしていて、親世代がストックを溜め込んでしまう理由の一つが明確にわかりました。

何もない時代から「もの」の時代だった頃の世代。

終戦で焼け野原になった日本。
全て失ってしまったその時から、日本は、急速なスピードで経済成長を成し遂げました。
私の親世代も、戦争当時のことは知りません。でも、幼いときは、いまよりずっとものが無い時代。
ものを持つことが豊かさの象徴でした。
だから、どうしても、ものを買うことがやめられず、捨てることができない、というのは理解できます。

奇跡的な金利上昇。2年後には価格が1.5倍に?

現在は、金利は低く、経済成長も伸びているのかわからないぐらいです。
でも、昔、1960年代からは高度成長期でした。そして、その経済成長は、バブル期まで続きました。

不動産を持っていたら、売るときは必ずといっていいほど高く売ることができたんです。
そして、それは家や土地のような大きなものだけではありません。


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出典:国土交通省


最終年が2011年のグラフなので少し古い資料になっています、今から8年前のグラフです。
グラフに書かれている年齢に8歳を足してみると…

1960年代、現在77歳の人が20、30代の経済成長率は6.59%
1960年代、現在67歳の人が20、30代の経済成長率は3.99%

と読み取ることができます。
例えば、私の親世代は、70代半ばなので、若いときの経済成長率は平均して6-7%。
1968年には、12.4%にもなっています。





別の資料を見てみます。



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消費者物価指数 - Wikipedia


既に、1973年(昭和48年)からの列島改造ブームによる地価急騰で、急速なインフレーションが発生していたが、第一次オイルショックにより相次いで発生した便乗値上げにより、さらにインフレーションが加速されることとなった。

総合卸売物価は1973年で15.6%、1974年で31.4%上昇し、消費者物価指数は1973年で11.7%、1974年で23.2%上昇、1974年の実質GDPは-0.2%となった。

狂乱物価 - Wikipedia


「消費者物価指数」とは、メディアが報道する「物価が◯%上がった」という場合に使われる値です。
上のグラフは、私たち消費者が、実際にお店で購入する価格の目安の推移です。


「消費者物価指数は1973年で11.7%、1974年で23.2%上昇」ということは、単純に計算すると、1972年に、100円で1パック買えたラップ1巻が、次の年の1973年には112円になってしまう、ということ。そして、その次の年、1974年の消費者物価指数は31.4%ですから、144円出さないと買えない、ということです。

2年後には、ものの価格が1.4倍にもなってしまう。。。そんなとき、買いだめせずにいることができるでしょうか。


きっと、当時のようなハイパーインフレの時代では、買いだめをすることが、家計管理の肝だったのかもしれません。


大人になったときにはバブル崩壊していた私には、その高金利時代というのは想像がつきません。
ましてや、バブルって何?というもっと若い世代にとっては、生まれたときから経済成長率はほぼ止まった状態なので、到底理解不可能ですよね。

でも、2年で日用品の価格が1.5倍近くにもなってしまうという当時の事情を考えたら、買いだめしたくなる気持ちが少しは理解できるようになりました。

親世代に理解させるにはどうしたらいい?


経済成長を、肌で感じてきた私たちの親世代。
感覚で、ものを買い溜めることが良いと信じ、それが体質のように、今でも続けて当然と思っている世代。

頭で、今はたくさん物をもっていても良いことはあまり無いんだよ、といっても、なかなか理解はしてもらえないのかもしれません。

数字で説明すれば、おじいちゃんあたりは納得してくれるかもしれませんね。

理屈でなく、もっと感覚的に、「ものをもっているほうが良い」と信じている親世代に、納得してものを減らしてもらうのは至難の技かもしれません。
でも、そうした時代があった、ということを、私たちが知っておくだけでも、もしかしたら違った対応ができるのではないでしょうか。


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