羽生結弦選手、優勝おめでとうございます!
羽生選手の実力、魅力は、すでに私が語ることもないところですが、表彰式の後のテレビのインタビューで、羽生選手が「金メダルを取るために捨てたもの」を語ったのが、とても印象的でした。
羽生選手が捨てたものって、一体なんでしょう?
私が初めて羽生選手を知ったのは、4年前の前回のオリンピックのショートプログラム。
フィギュアスケートは全く興味のなかった私ですが、情熱的な演技に、一目で魅了されてしまいました。
クールで情熱的、そして完成された演技と技術。
類い稀なプロポーション、端正な顔立ち。
そして、氷上とは違う可愛らしい笑顔とのギャップ。
もう、魅了されない人はいないのではないでしょうか? 私もその一人です。
それ以降は、テレビで羽生選手を見るたびに、注目していました。そう、それまでは、その彼の演技や容貌の美しさゆえに。
でも、今回のオリンピックの時は、以前とは違いました。
先に負った練習中の怪我でまともに練習ができなかった羽生選手。一時は、オリンピックの出場も危ぶまれていた、大怪我でした。練習期間はわずか1ヶ月。その短期間で、どれだけ彼が仕上げてくるのか。
私は、日々の忙しさで、この平昌オリンピックもほぼ満足に見ることができず、朝のニュースなどで結果を知るぐらいしかできなかったのですが、羽生選手の演技だけは、絶対見逃したくない!と、前から計画を立てていました。金曜日は、午前中で仕事が終わるように、段取りして、ショートプログラムをライブで見るために仕事を早退しました。
ショートプログラムの演技中は、もう、
「怪我をした右足は大丈夫?」
「転んだりミスしたりしませんように」
挙げ句の果てに
「これ以上の怪我などありませんように」
という具合で、まるで息子を見る母視線で、祈るような気持ちで見守り、全く彼の演技に集中することができず…
ようやく、演技が終わり、何度もリプレイされた2回目以降、彼の圧倒的な演技を堪能することができました。
そして、彼はやはり魅せてくれました、最高の演技を、王者の威厳を。
「金メダルを取るために全てのものを捨ててきた」
表彰式の後、松岡修造氏とのテレビインタビューで、羽生選手が「金メダルを取るためにすてたもの」という内容で、言及していたのが、ミニマリストの私としては、非常に印象的でした。
(録画していたのを夫に消されてしまったので、言葉には多少の意訳が含まれています、ご了承ください)
インタビューで羽生選手はこう語りました。
「全部が全部欲しい、何もかも手に入れたいけど、捨てなきゃ取れないものもある」
そして、何を捨てたのかと問われると、彼はこう語りました。
「普段のこととか考えかたとか、今この幸せはいらない」
「そういうもの(小さな幸せ)をすべて捨て去ってきた」
羽生選手の捨てた、幸せなときってどんなときなんでしょう。
常人の私にはさっぱり検討がつきません。普通の23歳の男子なら、友達と楽しくやる時間、ゲームや趣味、恋愛。また、怠けたい、辛いことをやらずに済ませたい、楽に流れたいという気持ち…などでしょうか。
もしかしてかつての金メダリストである彼なら、以前に得たメダリストとしての栄光などだったのかもしれません。
そうした「小さな幸せ」を全て捨ててきて、この金メダルに全てを捧げた羽生選手。
なんという努力でしょう。
なんという強さでしょう。
きっと、この「小さな幸せ」を捨て続けることは、怪我をしてからのこの1ヶ月だけじゃなく、4年前の金メダルを得た時から、いえ、ずっと以前の、スケート選手を志した時から始まっていたに違いありません。
「五輪への思いが、どんどん小さくって、最後にキレイなかけらになった」
オリンピックへの想いを、そのように語った羽生選手。
本当に大切なものだけを目指すために、多くのものから、そのほか全てのことを削ぎ落とした羽生選手。そして、得た、金メダルなのです。
私の大切なものってなんだろう?
世の中は、たくさんの魅惑的なものやことがあふれています。それをしない、持たないことって、本当に難しい。
そもそも、「自分は何を大切にしたいか」ということがわかっていなくては、できません。
羽生選手の大切なことは、世界中の人々に多くの喜びを与えてくれました。
私の大切なことは、もっともっと小さいことで、羽生選手が金メダル獲得のためにすてた「小さなこと」。例えば、毎日その辺に転がっている小さな幸せなどです。
でも、子を育てる母、そして家庭を運営する主婦、そして働く社会人の一人としては、毎日の小さな幸せが、自分や夫、これから社会に出て行く子ども達を通して、自分が取り巻く環境に良い影響があると信じています。
私も、今のちっぽけな「大切なもの」のために、たくさんの「もの」や「こと」を捨ててきました。
そして、このブログでお伝えしたいのは、
大切なものを得るためには、その他のものやことを「持たない」「しない」ほうが、ずっとたやすい
ということです。
羽生選手の圧巻の演技の裏にあった辛い時、大変な思いを乗り越える、そして大切なもののためにほかのものを捨てる精神的強さ。
今回の金メダル獲得で、さらに、羽生選手を尊敬する気持ちが高まりました。そして、その「強さ」を分けてくれた羽生選手に、心から感謝したいと思います。