記録的豪雨に見舞わわれた、九州の皆様に、お見舞いを申し上げます。
日曜日の朝、テレビをつけると、水浸しの街が目に飛び込んできました。
そして、それだけでなく、なんとこれからダムの放水が予告されていたのです。
放水が予告されていたのは、球磨川上流にある市房ダム。
ダムの放流が始まると、下流地域の水位がさらに上昇し、被害が拡大するのは免れない状態でした。不幸中の幸いにも、途中で雨は小康状態となり、市房ダムはなんとか持ちこたえて、緊急放流は延期の末、中止となりました。
ダムの計画がとん挫
週末からの大雨で、九州地方では洪水や土砂崩れによる災害が発生しています。球磨川流域にある特別養護老人ホームでは、多くの死者を出してしまいました。
急流で名高い、九州に横たわる球磨川。昔から「暴れ川」として知られ、地域は過去に何度も洪水に見舞われていたことから、防災に力をいれていたそうです。
実は、以前、今回は放流を免れた市房ダムは、今から55年前の1965年の梅雨時の豪雨で、洪水調節機能を失って、放流を余儀なくされ、下流地域では大洪水が起きたのです。
そこで被害を防ぐべく、新たに大型の「川辺川ダム」の建設が計画されました。
ダムの建設事業は、地元の反対により、計画がとん挫してしまいました。反対意見としては、「コンクリートから人へ」と唱えた当時の民主党政権により、公共事業にたいする風当りが大変厳しい時代でした。反対派の当時の熊本県知事は、現在でも現役の蒲島熊本県知事。記憶が新しい2006年の豪雨でも、再度球磨川は水害は発生しましたが、その時も県知事は「ダムによらない治水」の姿勢を貫き、ダム計画の白紙撤回を求めました。
ダムなしの治水、というなら、途中までお金をつぎ込んだダムを完成させるよりももっと費用はかかるけど、さらに堤防を増やす、川底を浚渫する、矢板を使った止水方法の活用、遊水池を増やす(土地のないここの地域では難しいと思いますが)、危ない地域には建造物の許認可を下ろさないなどの対策はできていたのでしょうか?
川辺川ダムがあったら、今回の水害は免れたかどうかは、専門家の検証が必要ですが、私のまわりの土木の技術士の間では、川辺川ダムがあれば、減災できてただろうというのが共通認識です。
ツイッターなどでは、今回の水害は人災ともいう意見も見受けられます。
当然、当時の反対派や知事に対して責任を問うことはそれほど難しくありません。日本は民主政治ですから、知事を続投させている県民にも責任があるといえなくもない。原因究明は大切ですが、責任を追及したところで亡くなられた方々の命は戻ってきません。
大切なのは、起きてしまったことの責任を追及するよりも、これからどうするのか、ということ。
それでも、ダムなしを最後まで貫きとおそうとする現熊本県知事の対応に、歯切れの悪さを感じずにはいられません。
そこは住んではいけない場所だった
ダムや堤防を建設するかしないかは、私たち個人は選ぶことはできません。
簡単にできるのは、住む場所を選ぶこと。
今回、多くの被害がでた熊本県球磨村の千寿園。
ここも住んではいけない場所でした。
左はグーグルマップ。右の国土地理院による浸水想定マップ。
令和2年(2020年)7月3日からの大雨に関する情報 | 国土地理院
千寿園のあるところは、5メートル以上もの浸水が予想されている濃さで塗られています。
ぱっと避難できる元気な人が使う施設ならまだしも、すぐに避難できない老人施設や保育所などをこうした事前にわかっている危険な地域に作るのはダメでしょう。
家を買う時は慎重になっても、特養や保育所を選ぶ時にはなかなかハザードマップまで注意を向けることはできないかもしれません。そもそも、「そこしか入れなかった」というケースもあるでしょう。
今、すぐにできる洪水対策
先日、私の地域の友の会では、災害に対する意識を高めるため、友の会会員にアンケートを取っている最中です。現在、集計作業をしています。その中で気が付いたことは、これだけ災害対策が叫ばれている中でも、やはりなかなか実践できていない人もいる、ということ。
問題に対して、なにかアクションを起こすにあたり、さいしょにできる簡単なこと。
それは、現況を知ることです。
水害に対しては、自分の住んでいる場所が、どれほど危険な地域なのか、まず知っておくことが大切です。
自治体が発表している、ハザードマップを確認しておくことは、その第一歩です。
まだ、ハザードマップを見たことがない、という方は、
今すぐ、検索窓に「(自治体名) ハザードマップ」と入れて検索してみてください。
すでに起こってしまったことは、取り換えしの付かない事実です。
大切なのは、これからどう動くのか。
生きていく上で、私たちは多くの「ムダ」を費やします。
でも、非常時の備えは、「必要なムダ」。使わなくてよかった、というのが有事の備えです。
防災や国防など、これからの起こってほしくない有事に更なる備えが必要です。その第一歩は、現状を知ることです。
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