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男子3人を持つワーママ、尾崎友吏子がつづる、暮らしをダウンサイジングして、すっきり簡単に片付く、自然に優しいシンプルな生活。

【防災】プロが教えてくれない不都合な真実と、災害に学ぶ大切なこと②


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前の記事の続きです。
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地名がヒントになる危ない土地

昔は、どんな地域だったのか探る手がかりとして、地名は大きなヒントとなります。



「さんずい」に注意。

特に有名なのは、「さんずい」のつく名前ですね。

たとえば、世田谷区では、

池尻、奥沢、上北沢、下北沢、桜上水、瀬田、大沢、玉川、野沢、深沢


など。
(注:これらの地名がすべて危険というわけではありません。郵便番号索引より「氵」のつく漢字の地名を列挙しています。)
東京都世田谷区の郵便番号一覧、住所・地名の読み方


地形を表す漢字に注意。

他にも、地形や地質を表す地名は、「窪」「谷」「橋」「落」「押」「釜、鎌」「砂」など。




地形を表す「読み方」に注意。

漢字でなく、

埋め→ウメ→「梅」

窪→クボ→「久保」

のように、別の漢字になっている場合もあるので、音読みで判断すると良さそう。


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出典:国土地理院ウェブサイト


「おしゃれ」な地名に注意。

また、新しく造成された新興住宅地でしゃれた名前の場所は、古い地名が災害と関係していることもあるそう。

現在の目黒区自由が丘、緑が丘、世田谷区奥沢にあたる地域は、かつて「衾(ふすま)村」と呼ばれていたという。その由来は諸説ある。『郷土目黒』(目黒区郷土研究会発行)によれば、かつてこの地が谷に挟まれた「はざまの土地」であったことから、それが転訛して「ふすま」と名付けられたとしている。

自由が丘をはじめ、日本全国には「○○が丘」や「○○台」、あるいは「希望」や「光」といった明るい意味の単語を使った地名は数多い。そのほとんどは近年つくられたばかりの新興住宅地。ところがそうした場所は、古い地名が災害と関係していることがしばしばある。

災害の記憶をいまに伝える日本全国「あぶない地名」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)


地名は、歴史を語っています。もしかしたら、昔の人が、災害を伝えるために、残したものなのかもしれません。



昔の地図を見てみよう。

たとえば、再開発されて人気のエリア、武蔵小杉。今回の台風では駅前が冠水した様子がに映像で流れてきました。

江戸時代、この付近には中原街道の小杉宿が置かれ、二ヶ領用水から取水した水田が広がっていた。

武蔵小杉 - Wikipedia



国土地理院のウェブサイトでは、明治期の地図も見ることができます。


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出典:国土地理院ウェブサイト
真ん中あたりの十字が、武蔵小杉駅近辺。
これに、明治期の地図を重ねてみます。


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出典:国土地理院ウェブサイト
明治時代の武蔵小杉。現在とは多摩川の形状もかなり違います。

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黄色い色は田。




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出典:国土地理院ウェブサイト
明治期には、一面水田だったようです。もともと水はけの悪い土地だったのかもしれません。
駅の北側の公園あたりは、もとは川でした。

家やマンションなどを建てる時には、地盤改良をしたりして基準に達していないと、建築はできないので、もちろん住むことはできます。

駅周辺は、一面タワーマンションが立てられ、人気の地となりました。
タワーマンションでは、電気が命綱。
この立地で、電源設備が地下にあるとは、よい設計とは言えません。
本来なら、1Fを住居にしないなどの配慮も必要でしょうが、開発、販売するデベロッパーにすれば、「売ってなんぼ」。まあ、この近辺では、1Fは住居じゃなくてテナントでしょうか?

高層に住むなら、8階~10階が、階段で昇降できる限度と言われています。
万が一の時を考えるなら、住む階数も考慮するべき。





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出典:国土地理院ウェブサイト
あまり神経質になると、もともと国土も狭く、自然災害の多い日本では、住めるところは無くなってしまいます。こちらは大阪。真ん中は大阪城。

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出典:国土地理院ウェブサイト
旧地図を重ねると、こんなかんじ。大阪市内は一面水田のところが多い。


水害以外にも、津波、地震(断層の位置)など、災害を防ぐための土地選びのポイントはたくさんあります。
もし、引っ越しする機会があれば、街の雰囲気や利便性以外にも、ちょっと考える余地が必要です。




私たちは、住む場所を選ぶ権利があります。
安く住める、買える土地や家というのは、当然理由があります。その理由を考え、納得した上で、住む場所を選ぶことは、家や土地などの財産、そして家族を守ることにつながります。

この記事では、今回の台風で浸水した、特定の地域を例に出しました。
特定の地域を誹謗するつもりは全くありません。ご理解ください。
狭い日本、全国でもたくさんこのような土地は存在します。
神経質になってたら、住むところがなくなっちゃいますね。

でも、自分の家が建っている土地の特性や弱点を理解すれば、次に訪れる災害への備えに活かせます。人は、学習できますから。



社会資本設備も大切。でもそれに甘えてはいけない。

美観を求めるのも大切ですが、それも命があってのこと。民主党政権のとき、「コンクリートから人へ」をスローガンに、スーパー堤防の築堤の反対などがあり、多くのインフラ計画が中断となってしまいました。

「コンクリートから人へ」とは、「コンクリートに代表される社会資本設備などのインフラ整備より、生活に重視する」というように解釈できます。

もちろん、対費用効果が低く、「ムダ」と思われるような事業もありますが、大変有効な事業はたくさんあります。

今回の台風では、八ッ場ダムが大活躍しました、と話題になっています。

7割着工済みだった、八ツ場ダムの工事が事業仕分けで「不要」なものとなり工事は中止になっていましたが、2011年利根川水系にかかわる6県の声明を受け、国は建設を再開。

今年の10月1日から、ダムの試験貯水が開始されたばかりの折に、今回の台風の降雨により満水近くまで水を貯めたことで、「下流域の治水に役立った」とtwitterで流れてきました。

今回、八ッ場ダムが貯水できたことで、下流域の災害が本当に防げたのかどうかは、綿密な計算が必要なので、すぐには結果が出ません。が、私の勤務先(建設コンサルタント)では、技術士さんが、ある程度の仕事はしたんじゃないか、という会話をされてました。



暮らしに役立つため、防災のため、社会のインフラは現代社会には必須です。

とはいえ、それに甘んじ、頼りすぎるのもダメ。

日本の土木技術は世界トップクラス。それは、日本が地震や津波などの災害の多さに加え、複雑で狭小な地形の上に建設するという技術が培ったものです。
技術者たちは、日々自然環境に挑戦していますが、いかなる天変地異がきても「完璧」とはいえず、それを超える自然脅威もありえます。
今回も、設計基準を上回る降雨で、堤防があっけなく崩壊してしまい、大洪水を招いてしまいました。鋼矢板などを中に差し込んで、もっと強靭な堤防を作れないかな?とか思ってしまいます。



「堤防あるから大丈夫」「2階だから心配ないよね」「昔は氾濫したみたいだけど今なら安全」とは考えず、インフラの恩恵を受けながらも、
「それでも、人間は自然にはかなわない」
と、謙虚な考え、行動が必要だと、いつも思っています。


地名は警告する―日本の災害と地名


子どもたちとともに、災害に関するいろいろな話をしています。
中学生以上なら、こんな本も一緒に読んでみると面白いかもしれません。


天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)

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