先日、友の会の住研(住研究会)のメンバーで、会員宅のお片づけのお手伝いをしました。
このたび、整理のご相談を受け、「主婦はまずキッチンから」ということで、キッチンとパントリーの整理をお手伝いすることに。
Iさんは2世帯住宅の6人家族。戸建の2、3階にご夫婦と3人の娘さんがお住まいです。
Iさんの家は建築士が設計した注文中宅だけあって、広さも十分、住み心地もとてもよさそうなこだわりの住宅。ただ、一番下のお子様の洋服の管理や、リビングにあふれるおもちゃ、そしてキッチンの台所道具の取り出しにくさや消耗品の在庫管理に悩んでいました。
このたび、整理のご相談を受け、「主婦はまずキッチンから」ということで、キッチンとパントリーの整理をお手伝いすることに。
片付かない場所はいろいろあるけれど、まず台所が片付けば、日々の台所仕事が格段にラクになり、時短につながります。その余った時間で、他の場所を片付けることができるからです。
まず、Iさんから詳細にお話を伺い、普段の生活、家事の流れや台所作業で困っていることを聞き取り、それに応じて整理収納をすすめました。
「だわへし」でスムーズにお片づけ
片付けの方法は、友の会でおこなわれている「だわへし」を元に実行。
だ=出す
わ=分ける
へ=減らす
し=しまう
だ=出す
棚から全て出して、所持品を把握します。
Iさんの家は、保存容器や水筒がとても多く、数カ所に分けられて収納されていました。なかには、ご本人が覚えていないものも吊り戸棚の上からちらほらと。
Iさん宅も、我が家とおなじくお子様がミニバスをしています。こどもがスポーツしていると、水筒はどうしても増えてしまいがち。Iさんのところはなんと22本もありました。
また、Iさんはお菓子をよく手作りされています。以前、私がIさんの家に伺った時にも、手作りのお菓子をいただきました。ラッピング用品や複数の抜き型、使い捨てのお菓子の型などがたくさん出てきました。中には、用途が被っているものもいくつかありました。
手が届きにくいところは普段チェックしないので、どうしても不用品がたまりがちになりますね。
わ=分ける
出したものを、
・よく使うもの
・たまに使うもの
・あまり使わないもの
・使わないもの
に分けていきます。
分ける時のポイントは、あくまで「使うか、使わないか」という判断をするということ。「捨てる、捨てない」では分けません。「捨てる、捨てない」で分けると、「もったいない」とか「まだ使うかも」 などの邪念がはいり、正しく分別できなくなります。
へ=減らす
・よく使うもの
・たまに使うもの
・あまり使わないもの
・使わないもの
と分けたあとで、
・あまり使わないもの
・使わないもの
は、今後も使わないか 登場回数がすくないものです。減らす、つまり手放すことを考えます。
減らす=捨てるではありません。減らす方法は、捨てる他にも、「差し上げる、寄付する、売る、リメイクする」など、ほかにももっと良い選択肢もあります。
今回、Iさんが使わないと分類した道具たち。
水筒、食器、お菓子の道具など。
プラスチック製品が多かったのが印象的でした。
布類は雑巾やウエスに。
し=しまう
・よく使うもの
・たまに使うもの
・あまり使わないもの
・使わないもの
と分けたうち、以下のように再度収納していきます。
・よく使うもの は、手に取りやすい場所に、
・たまに使うもの は、吊り戸棚の上方か、蹴込み(Iさんのキッチンには、「蹴込み」といわれる、キッチンにたったときにつま先があたる部分にも収納があります)に
・あまり使わないもの は、キッチンの横にある収納庫(パントリー)に。
・使わないもの は、手放す方向で。
Iさんは、お鍋はお鍋の引き出しに、食器は食器と分けて収納していました。
ただ、お鍋もよく使うものとあまり使わないもの、食器もよく使うものとあまりつかわないものがあります。
今回は、もっとも取り出しやすい場所に「よく使うお鍋だけ」と「よく使う食器」を、そして「あまりつかわない鍋」と「あまりつかわない食器」を屈まないといけない蹴込み部分にまとめることにしました。
22本あった水筒のうち、8本は処分。よく使う5本は主にせの低い一番下の娘さんがつかうので、手が届く一番下の引出しへ。たまにつかう9本は上の吊戸棚へ。というように、それぞれつかう頻度を考えて分けて収納することにしました。
また、昔使っていた古いプラスチックのお弁当箱は処分し、いま使っているものだけを取り出しやすい引き出しに収納。また、お子様が小さいときに使っていたアルミのお弁当箱は、すてずに収納の小物の仕切りとして再利用することにしました。
同じ形の野菜やクッキーの抜き型が3つなど出てきたので、もっとも使い勝手の良さそうなものを1つ残してあとは処分。これらのものは、当日来ていたメンバーの人がもらってくださいました。
いろいろな道具が入っていて取り出しにくかった一番よく使う調理器具の引き出しが、仕分けした後、おたまやヘラなど長いものは下の引き出し式へ空きビンに立てて収納し、しゃもじ、軽量スプーンなど短いものは引き出しへ移動。そして、あまりつかわない道具は蹴込み部分の収納に移動させました。
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一番取り出しやすい場所にある引き出し。ツール類がごちゃつき、取り出すときに時間がかかっていました。
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ほんとうによく使うツール類を長さに分けて分類しました。
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上記引き出しの下段のひきだし。こちらも取り出しやすい場所の一つ。ツール類が絡まってなかなか取り出しにくい状態になっていました。
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あまり使わないツールや、短いものは他の場所に。ゴミとしてでた筒を利用して、全て立てて収納、取り出しやすく。よく使うけど取りにくいところにあったキッチンスケールや千切り機なども取り出しやすい位置に。
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少しての届きにくい吊り戸棚。いろいろなものが押し込まれていました。下段はまだ手がとどくのに使いこなせていませんでした。
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別の吊り戸棚。製菓グッズが溢れていました。保存容器やお弁当箱もとりだしにくいので、結局いつも別のをつかうはめに。
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空き箱を利用して、取り出しやすい位置に厳選した製菓グッズをまとめて。
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かさばる鍋帽子が取り出しやすい場所に来ました。鍋帽子はパントリーに収納していましたが、夜遅くに帰ってくる家族のごはんを保温できることを伺い、台所の吊り戸棚の下段へ。余裕のなかったキッチンの収納に空きが出ました。
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お鍋を全てここに収納していました。あまり使わないお鍋が、いつもつかうお鍋の出し入れを邪魔していました。洗剤がいくつも保管されていました。
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よく使う食器と、あまり使わない食器が混在していました。
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よく使う水筒と弁当箱を、以前より取り出しやすい位置にゆとりをもって収納することができました。
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よく使うお鍋と、バットやボウル、ざるをまとめてこの引き出しに。普段使いのツールはここをあければ一発でとりだせます。
よく使う道具類をまとめることで、よく使う道具がいつでもサッと取り出せるだけでなく、道具類をしまうときも一箇所を開けば収納できるようになりました。
また、いままで、収納したかったけど、場所がなくキッチンの天板に出しっぱなしになっていた水筒類や、調味料を、引き出しに収めることができました。
また、キッチン横のパントリーはこ奥行きがあるのでどんどんモノを押し込んでいて、「魔の巣窟」(ご本人談)でした。
マヨネーズが4本、醤油が3本、シーチキン、コーンの缶詰めが10個ずつぐらい?大量に出てきました。
一目で在庫がわかるように前後に同じ種類のモノを並べ、重いものは下方は移動、あまり使わない道具類は上部の棚へ移動。
また、道具を厳選し、収納にゆとりを持たせることで、あまり使わない道具がよく使う道具の出し入れを邪魔することもなくなります。
台所の片付けをしたIさんの感想「片付けに対する考えが変わった」
家族みんな台所をみるなり綺麗!!と喜んでいました。
最初は置き場所が違うのでとまどっていましたが、すぐに慣れてもとに戻しやすいと言ってます。
台所とても使いやすくなりました。動線がいい。洗ってさっとしまえる。鍋帽子がすぐに使える。何もないから掃除しやすい。
いまのところ、寝る前の台所は何もなく油汚れも拭けているピカピカが続いています。お湯で絞ったふきんでコンロ周りをふくと洗剤なしでもきれいになると聞いて、実行しています。
今まで何度も大掃除をやってきましたが、その時はきれいになっても持続せず、すぐに雑然となって落ち着かない気分を持ち続けていました。
今回とてもズンと響いたのが、いつか使うのいつかは来ない!です。
今まで私が何度も大掃除をしてもスッキリしなかったのはいつか使うだろうと思って別の場所に移動するだけだったからです。
いらないの基準がその時その時で違うので悩みながら捨てる捨てないをやると疲れてきて最後まで片付かないことが多かったです。シンプルに「よく使う、たまに使う、使わない」と仕分けすれば簡単に片付きますね!!台所が終わればリビング、クローゼット、子供部屋へ。。ゆくゆくは家全体を。。が最終目標。
私は台所がきれいになったのはもちろん片付けに対する考え方が変わったのが嬉しいです。
片付けて使いやすいキッチンになっただけではなく、掃除がしやすくなったこと、そして片付けに対する意識の変革があったことで、これからはIさん自力での片付けがよりスムーズにできるようになること間違いなしです。
今回、片付けのなかで住研メンバーからでた言葉をご紹介。
・種類別より一緒に使うもの、使う頻度の高いものをまとめる。
・いつか使うか具体的に想像できるもの以外は置かない。
・「いつか使う」の「いつか」はなかなか来ない。「いつか」がきた時に買う。
・新しものを買ったらひとつ捨てる。
・1日1回リセット。寝る前の家
・必要なものは少ない。
・掃除はちょっとずつすると労力もちょっとで済む。
友の会は、雑誌「婦人之友」「かぞくのじかん」の愛読者の会です。
ひとりではなかなか進まなかったり、使わないと分別する勇気が持てなくても、こうして皆の意見を聞きながら楽しく片付けすれば、その勇気を後押しすることができます。
友の会の住研は、友の会会員で住まいに興味がある方はどなたでも入ることができます。今回のように、若い人が学べるようにと託児付きで、皆と一緒に学ぶ取り組みをしています。私も、日々、少ない労力で整う家を作ることができるようになったのは、友の会から多くの学びを受けた影響が大きいです。